2024年本屋大賞候補作『黄色い家』 

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2024年本屋大賞候補作1冊目は川上未映子著『黄色い家』。

2020年、世の中がコロナに翻弄され始めた春、惣菜店でアルバイトをしている40歳の花は、吉川黄美子が若い女性の監禁・傷害の罪で逮捕・裁判になっていることをネット記事で知る。20年前に花は、母親の友人であった黄美子と知り合い、親切で優しい黄美子を頼るようになる。同じように居場所のなかった二人の少女と一緒に、黄美子の「黄色い家」に集まって暮らしはじめるが、やがてある犯罪に手を染めることになり……。行き場のなかった若者たちの心のよりどころであった「黄色い家」は、危うい共同生活の場所であり、その生活は犯罪によって成り立っていたのである。

600ページもの長編であるが、一気に読める大傑作。花が黄美子を頼って犯罪に手を染めていく過程は、遠い別世界の話というよりは、誰もが陥りそうな身近な存在に感じてしまうので、読後は切なさややりきれなさが残った。

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