2024年本屋大賞受賞作品は宮島未奈著『成瀬は天下を取りにいく』。本屋大賞候補に選ばれてから読んだのですが、めちゃくちゃ面白かったです!予想を超える世界観でした。著者のデビュー作だそうですね。
主人公の成瀬あかりは、ぶっとんだ女子で、自分の軸がまったくブレない。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、地元の情報番組「ぐるりんワイド」のテレビ中継に映ろうと試み、M−1に挑み、高校入学時に坊主頭で登校してきたり…。その成瀬と幼なじみの、いたって普通の女子、島崎みゆきが、成瀬に巻き込まれていく感じが、読者の視点というか、共感しやすい存在として、またいいのである。
同じく2024年本屋大賞候補作で7位に入賞した、青山美智子著『リカバリー・カバヒコ』。著者の青山さんの作品はこれまでにも、現代人の疲れた心と体にそっと寄り添ってくれたが、今回は、新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒルに暮らす様々な世代の人たちが、マンション近くの公園にある色の禿げた古いカバの遊具・カバヒコに自分の悩みを癒されていくストーリー。個人的には、第4話の「勇哉の足」が一番グッときた。
以上2冊、本屋大賞受賞作と7位入賞作をご紹介しました。2024年の本屋大賞候補作からは、前回ご紹介した川上未映子著『黄色い家』以外に、2位入賞の津村記久子著『水車小屋のネネ』(津村さんの作品はどれも好きですねー)、10位入賞の小川哲著『君が手にするはずだった黄金について』を読みました。今回も本屋大賞、楽しませていただきました!
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