津村 記久子 著『うそコンシェルジュ』(新潮社・2024)
津村記久子さんの本は、出版されたら基本的には全部読んでいます。今回も期待を裏切らない面白さでした。「いるよね~こういう人。」というかんじの人が次々に登場します。そうか、こういう人には、こういう対応をすれば良いのか!と、まるで「スカッとジャパン」なお話が11篇。短編集ですが、表題の「うそコンシェルジュ」は「続うそコンシェルジューうその需要と供給の苦悩篇」と続いて、読み応えあり。
「うそから出た実(まこと)」「うそも方便」「噓つきは泥棒の始まり」「嘘に嘘を重ねる」……「うそ」に関することわざには、「うそ」を肯定するものから、「うそつき」はよくない、というものまでありますが、「うそコンシェルジュ」には、周りの人を助けるために「うそ請負人」として奔走する女性、みのりが登場します。
養老 孟司、名越 康文 著『虫坊主と心坊主が説く 生きる仕組み』(実業之日本社・2024)
養老先生と名越先生の対談。世の中を変えたり、何か意見しようというわけではなく、「お経のように心に響く何かを提供したい」と願うお二人のお話に、日々の混乱や不安の中「生きる」ことにやや疲れ気味な心が、めちゃくちゃ癒されます。以下、特に心に響いた箇所抜粋。
「最近は若い人の口から『承認欲求』という言葉がよく聞かれて、人から認めてもらいたいと考える人が多いです。」 養老先生「ダメだよ、人に評価を預けてしまったら。自分の承認もそうだけど、基本的に、他人に価値を置くと苦しむと思う。」(p65)
名越先生「自分のやり方ができない組織ってストレスがたまります。こうやってもらわないと困ると言われたり。」(p76)
養老先生「人間は厄介だよね。存在しているだけで厄介。」名越先生「厄介なまま生きたらいいじゃないかと。」養老先生「受け入れてね。」(p122~)
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