平野啓一郎 著『本心』(文藝春秋・2023)
「自由死」が合法化された近未来の日本。亡くなった母を VF(ヴァーチャル・フィギュア)としてAIで再生させた朔也は、母がなぜ「自由死」を望んでいたのか、聞くことのできなかった母の本心を探ろうとする。啓親のVFをよりリアルなものとするためには、母が生前かかわってきた人とVFの「母」が「会話」することによって、VFのデータを事実に近づける必要があり、朔也が知らないところで母と関わってきた人たちを探すことに……。
今年は、ノーベル物理学賞、化学賞ともにAIに関連した研究が受賞するなど、我々の生活にAIが急速に浸透しつつある。つまり、朔也の職業であった「リアル・アバター」の仕事も決してフィクションで片付けられず、近い将来、これがリアルの世界になるのではないかと心がザワザワする、そんな小説である。
物語の終盤「この世の中。……同じ人間として生まれているのに、こんなに格差があっていいはずがない。それは絶対におかしいよ。」という、朔也の元同僚・岸谷のセリフに、どんなに社会の形態が変わっても本質は変わらないような気もするが。
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