1月の読書 第61回文藝賞受賞『ハイパーたいくつ』 第172回直木賞候補作『よむよむかたる』

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松田 いりの 著『ハイパーたいくつ』(河出書房新社・2024)

ハイパーたいくつ
迷惑系給金泥棒として職場で疎まれている「ペンペン」。鬱屈した毎日がついに限界を迎えたとき、壊れた言葉が壊れた風景を呼び起こす。リリカル系日常破壊小説、爆誕! 第61回文藝賞受賞作。 「 物語がどんどん加速し、最後まで可笑しさや面白さが減速し...

第61回文藝賞受賞作。めちゃくちゃ面白かったです。2025年はまだ始まったばかりですが、「今年読んだ本ベスト3」に入るに違いない、という確信を持っておススメします!

読めば、生きる勇気が湧いてきます。実際、毎日の仕事に行くのが少し嫌ではなくなりました。ぶっとんだ話で、実際にはありえないことの連続なのに、時々我に返るというか核心を突くセリフや文章が出てきます。私が特に気に入ったのは「あなたは自分に適していないことにだけ力を注ぎます。本当に生きるべき人生は土星に覆われています。」という箇所と「もう人に付き合うのは懲り懲りだと思った。」という箇所。とにかく一刻も早く読んでいただきたい1冊。

松田いりのさんの他の作品を読みたくて調べてみましたが、これがデビュー作なんでしょうか?見当たりませんでした。次回作も楽しみにしています。

朝倉 かすみ 著『よむよむかたる』(文藝春秋・2024)

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第172回直木賞候補作。老人たちがカフェに集まって読書会を行う、という設定が気になり購入した本。古民家カフェ「喫茶シトロン」の舞台は北海道小樽市。

読んでいる途中で、惜しくも直木賞からは落選されてしまいました……。帯に「笑って泣ける」とありますが、私が笑ったのは、叔母から「喫茶シトロン」を任されたカフェの男性店長(28歳)が、読書会のメンバーを覚えるために老人一人一人の特徴を捉えたあだ名をつける(直接呼びかけるわけではなく心の中で唱えるための)ところ。高齢者ならではの人生のいろいろが詰まっていて、悲しいエピソードもありますが、終盤は意外な人のつながりも発覚するなどコミカルな作品でした。あまり「読書会」らしさはなかったような気も。

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