初秋の読書『下町サイキック』

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吉本 ばなな著『下町サイキック』(河出書房新社・2024)

下町に暮らす中学生のキヨカは、近所に住む友おじさんが運営している「自習室」のそうじのアルバイトをしている。父親の女性問題が原因でキヨカの両親は離婚し、今は母親と二人で暮らしているのだが、家を出て行った父親が新たに騒動を起こし……。

生きていると、理屈ではどうしようもないことが起きるものだ。自分の身の回りで起きた困りごとは、たいてい家族、近所の人、職場の人、学生時代からの友人など、ご縁のある身近な人たちとやり過ごしているように思う。

「人はいつだって、今の人生をとにかく変えたいと思っている」「人間って弱いんだね。」「世の中のいろんなできごとはそんなに簡単なものではない」「すべてが紙一重な感じ」 友おじさんの言葉や、キヨカの日常の呟きが、生きづらさを感じている読者の心に寄り添ってくれる1冊。

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