昨今、学校教育において各校種で探究学習に取り組んでいますね。
文部科学省のホームページによると、「総合的な学習(探究)の時間」は学習指導要領にも定められており、「変化の激しい社会に対応して」「今、求められる力を高める」ことを目的として行う科目であると提示されています。
では「今、求められている力」って何でしょうか?
最近受けた「学校図書館実践講座」のオンライン講習の中で講師の先生がお話されたことで、なるほどと思った一説があります。
AIの台頭によって、社会構造の変化が起きている今、自ら問題を見つけ、協働的に解決し、新しい価値を創造できる人間が必要であり、「AIに解決の指示が行える人間」になることが求められているのではないか、と。
「変化の激しい社会に対応する」という点で、今後AIと共存する社会に対応していくことが必須であるのは、今年のノーベル物理学賞、化学賞の受賞がいずれもAIに関する研究者であったことからも明らかです。
落合 陽一(他)著『ChatGPTは神か悪魔か』(宝島社/2023)には、「仮に日本で東大生が優秀な人と評価されている理由が『質問に対して速く正確な回答を出せる』からであるとするならば、50万円程度で365日無休で働くAIの生産性は、東大生の約40倍である」という分析が示されていました。すでに「正解を出す」能力において、人間はAIに敵わない時代がやってきています。
一方、AIは「正解がないこと」「過去のデータから導き出せないこと」に対して得意ではありません。ChatGPTもあくまでツールであり、新しい物事を生み出すことにおいては、人間の能力にかかっています。創造力、独創力、閃き、認知能力、推論能力、洞察力、決定力、リサーチ能力などは、今後も変わらず身に着けるべき本質的で重要な素養です。
そのためにも、「問い」が与えられて「答え」を導き出すだけの授業より、自ら「問い」を設定して、資料を集め、それらを読んだ上でさらに考え、その過程の中で思考を深めながら、自分が設定した「問い」に対する「答え」に少しずつ近づいていく……「探究学習」こそが、最も今の時代に必要な学習の形態だと言えるでしょう。
では、自ら「問い」を設定するとは、どのような作業なのでしょうか。次回「AIの時代にこそ重要な探究学習② 探究学習の進め方」で説明したいと思います。
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